【VILLAGE通信 vol.23】プロの和包丁、9割が堺から 大阪府
Original article in Japanese

大阪府の国指定は9品目。堺打刃物、大阪欄間、大阪唐木指物、大阪泉州桐箪笥、大阪浪華錫器、大阪金剛簾、浪華本染め、大阪仏壇、いずみガラスです。
今回は、そのうちのひとつに集中します。
使っているのは、プロ
堺打刃物は、プロの料理人が使う和包丁の国内シェアが、およそ9割とされます。
これは、この連載で見てきたどのシェアとも性質が違います。一般向けではなく、「それで食べている人」の9割。
毎日使って、毎日研ぐ人が選ぶ。その人たちの9割が同じ産地を選んでいるということです。
たばこの葉を、刻む
堺の刃物の名が全国に広がったきっかけは、意外なものでした。
16世紀、ポルトガルから伝わったたばこの葉を刻むための「たばこ包丁」。これがよく切れると評判になりました。
やがて幕府は「堺極」の印を与え、専売を認めます。
国が保証するブランドでした。四百年前の話です。
刀の技が、また移った
この連載で、同じ構造を何度か見ています。
高知は、刀鍛冶の技が山林用刃物へ。滋賀は、武具の職人が仏壇へ。そして大阪は、刃物の技が厨房へ。
武器の技術は、平和な時代になると必ずどこかへ行きます。
行先は、その土地に何があるかで決まる。山があれば山の道具に、寺があれば仏具に、商の町なら、食べ物の道具に。
古墳と、鉄
堺には、仁徳天皇陵古墳(大仙陵古墳)をはじめとする古墳群があります。
古墳を造るには、土を掘る道具がいります。その鉄器をつくる集団がこの地にいたことが、堺の金属加工の源流とされます。
土を掘る→葉を刻む→魚をおろす。千五百年、同じ町で鉄を叩き続けています。
残りの8品目も、街の道具
欄間、桐箪笥、錫器、簾、本染め。どれも、里で使うものです。
京都の17品目が「納める・飾る」側に重心を持つのに対して、大阪の9品目は「使う」側に寄っています。
隣同士で、これほど性格が違う。
次号は兵庫。近畿の最後です。
参考:大阪府、堺市、経済産業省「伝統的工芸品の指定」、伝統的工芸品産業振興協会
——Value Village編集部
写真:Frank Schulenburg/CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)