【VILLAGE通信 vol.27】竹を、糸のように削る 静岡県
Original article in Japanese

静岡県の国指定は駿河竹千筋細工、駿河雛具、駿河雛人形の3品目です。
3つのうち2つが雛道具。そして残る1つが、かなり変わっています。
丸い、ひご
竹細工と聞いて思い浮かぶのは、竹を平たく割って編んだ籠でしょう。兵庫の豊岡杞柳細工(vol.24)も、素材は違いますが編む工芸でした。
駿河竹千筋細工は、竹を「丸いひご」に削ります。平たく編むのではなく、細い丸棒を一本ずつ差し込んで組み立てる。
この技法は全国的にほとんど例がありません。
丸ひごは、断面が円なのでどの方向にも同じようにしなります。だから曲面が自由につくれる。虫かご、盛りかご、行灯、花器——曲線の多いものが得意です。
削るのは手作業です。1本の竹から、太さの揃った丸ひごを何十本と取る。1本でも太さが違えば、組んだときに歪みます。
なぜ、静岡だったのか
江戸時代、駿府には東照宮の造営などで全国から職人が集まりました。仕事が終わったあと、そのまま住み着いた職人が多かったと言われます。
兵庫の播州そろばん(vol.24)は、避難先で覚えた技術が持ち帰られたものでした。静岡は、来た人がそのまま残った。
技術の移動には、いくつも型があります。
雛道具が、二つ
駿河雛具と駿河雛人形が別々に指定されているのは、めずらしいことです。
雛具とは、雛壇に並ぶ箪笥、鏡台、御駕籠、重箱などの小さな道具。人形とは別の職人がつくります。
本物の箪笥をつくる技術を、そのまま数センチに縮める。引き出しはちゃんと開きます。
埼玉の岩槻(vol.36で触れます)が人形の産地として知られますが、静岡は「持ち物」のほうで指定を取っているのが面白いところです。
指定の外にあるもの
静岡には、伝統的工芸品の指定にはならないものの、全国的に知られた産業がいくつもあります。お茶、そして模型(プラモデル)です。
模型づくりは、もとをたどれば木工——木型や仏壇の技術と地続きだと言われます。
和歌山の備長炭(vol.18)でも書きましたが、指定の有無と、その土地の実力は別のものです。
次号は長野へ。
参考:静岡県、静岡市、伝統的工芸品産業振興協会
——Value Village編集部
写真:なまけもの人間/CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)