【VILLAGE通信 vol.25】15品目、六古窯がふたつ 愛知県
Original article in Japanese

中部に入ります。最初は愛知県です。
国指定の伝統的工芸品は15品目。東京の23、京都と新潟の17、沖縄の16に次ぐ多さです。
ただ、愛知の特徴は数ではありません。
六古窯が、ふたつある
日本六古窯は、越前・瀬戸・常滑・信楽・丹波・備前の六つ。このうち二つ(瀬戸と常滑)を持っているのは、愛知県だけです。
この連載では、岡山の備前、滋賀の信楽、兵庫の丹波を見てきました。愛知でいっきに二つ増えます。
常滑焼は、朱色の急須で知られます。鉄分を多く含む土で、釉薬をかけずに焼き締める。土の鉄とお茶の成分が反応して、味がまろやかになるとも言われます。
そして常滑は、近代に土管とタイルの産地になりました。焼き物の技術が、そのまま都市のインフラになった例です。
瀬戸焼のほうは、逆に釉薬の産地です。「せともの」という言葉が焼き物全体の代名詞になったのは、それだけ広く出回ったからでしょう。
国指定としては赤津焼と瀬戸染付焼の二つが登録されています。
糸を、くくる
有松・鳴海絞は、布を糸でくくってから染め、ほどくと模様が出る技法です。
くくり方の種類は百を超えるとされます。同じ布でも、くくり方が違えば別の模様になる。
京都の京鹿の子絞と並ぶ産地ですが、有松は東海道の宿場で、旅人への土産として広まりました。売り先が街道にあった。これは京都とも、遠くに出荷する産地とも違う成り立ちです。
筆と、七宝
豊橋筆は書筆の産地です。広島の熊野筆(vol.10)が化粧筆で全国一、奈良筆(vol.19)が起源、そして豊橋は書筆。筆の産地は、それぞれ役割が分かれています。
尾張七宝は、金属の下地に釉薬をのせて焼く技法。銀線で輪郭をつくり、そのなかに色を差していく。
幅が広い、ということ
焼き物、染め、筆、七宝、仏壇、仏具、桐箪笥、石工品、鬼瓦、節句飾。
愛知の15品目は、まとまりがないほど散らばっています。
これは、名古屋という大きな消費地と、東海道という通り道の両方があったからだと思われます。京都は「注文が細かくなった」産地でした。愛知は「通る人が多かった」産地です。
次号は岐阜へ。食卓の器の話になります。
参考:愛知県、名古屋市、常滑市、瀬戸市、名古屋市有松、伝統的工芸品産業振興協会
——Value Village編集部
写真:Asturio Cantabrio/CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)