【VILLAGE通信 vol.18】日本の梅の6割が、この県から 和歌山県
以下为日文原文

四国を離れて、近畿へ入ります。最初は和歌山県です。
国指定の伝統的工芸品は紀州漆器、紀州箪笥、紀州へら竿の3品目。高知とほとんど変わらない数です。ただ、この県の「割合」は、工芸の外側にありました。
日本の梅の、およそ6割
農林水産省の作物統計で、梅の収穫量は和歌山県が全国第1位。全国のおよそ6割を占めます。
温州みかんも、全国第1位です。
ひとつの県が、ひとつの果実の6割をつくる。これは、この連載で見てきた工芸のシェアとまったく同じ構造です。
香川のうちわ9割、宮崎の竹弓9割、高知の山林用刃物6割。和歌山は、それを畑でやっている県でした。
日本三大漆器の、ひとつ
紀州漆器は海南市黒江を中心につくられます。会津塗、山中漆器と並んで「日本三大漆器」と呼ばれる産地です。
始まりは室町時代。近江から来た木地師の集団が、紀州の木で椀をつくったのが起源と伝えられます。
特徴は、高級品としてではなく「日常づかいの器」として広がったことです。丈夫で、値段が手に届く。だから量が出た。
桐の箪笥
紀州箪笥は和歌山市周辺でつくられる桐箪笥です。桐は湿気を通しにくく、火にも強い。着物をしまう道具として、長く選ばれ続けてきました。
会津の回はまだ先ですが、桐箪笥は各地にあります。和歌山のそれは、指定を受けている数少ないひとつです。
ウバメガシという木
和歌山には紀州備長炭があります。原料はウバメガシ。和歌山県の「県の木」でもあります。
備長炭は伝統的工芸品の指定は受けていません。けれど、燃料としてこれほど名前を知られた炭は、ほかにないでしょう。
指定の有無と、知られ方は、必ずしも一致しない。
高知と、和歌山
高知は2品目、和歌山は3品目。数は近くても、中身はまったく違いました。
高知は代替のきかない用途で残り、和歌山は日常の量で残っている。
次号は奈良へ。「9割」がふたつ出てきます。
参考:農林水産省「作物統計調査」、和歌山県、海南市、伝統的工芸品産業振興協会
——Value Village編集部
写真:Ka23 13/CC BY-SA 4.0(Wikimedia Commons)